ごあいさつ

通信Back number2008年4月~2009年3月

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2009年3月25日(水)No.244

 学校で,そして塾で,子ども達はいつも勉強させられています。しているのではなく,させられている,と大多数の子ども達は受け止めていると思います。そして,家庭では「自分で勉強しなさい」となっています。これとても自分でするのかやらされているのかはっきりしないものがあります。

 しかし,家庭では学校や塾ほどの強制力は子ども達に働きません。どうしても子ども達の「やる気」が必要となります。「やる気」は,子ども達は良い成績を取りたいのですから大丈夫です。そこで,「やる気」=「行動」となれば良いのですが,楽しいゲームなどとは違い,なかなかそうはいきません。「やる気」はありますから勉強を始めるのですが,がむしゃらにやって嫌になって続かないとか,家では誘惑が多くてなかなか始められない等,様々な原因からうまくいきません。うまくいかないから手をつけるのは益々面倒になります。

 それでも子ども達はやらなければと思っています。そこで,私の数少ない経験と知識から勉強を続ける「こつ」を書いてみようと思います。

無理をしない・むらなく・無駄を恐れない

 この三つでしょうか。勉強を時間数で考えることはあまり感心しません。特に続けて勉強をしたことのない場合,いきなり長時間の勉強を計画しても三日坊主で終わる可能性が大きいでしょう。やはり無理のない1ページとか,量を決めてやり始めれば長続きするかもしれません。

 無理をしない,そのためにも休憩・休みを必ず取ってください。週に1日はまったく勉強をしない日を決めてください。学校が休みの日曜が適当かと思います。また,祭日なども勉強はしないほうがよいでしょう。当然勉強の合間も適度に休憩を挟んでください。最初は,ゲームの合間に勉強するのも良いと思います。

 そして,勉強量はなるべく一定にしてください。一週間で6ページするとします。毎日1ページをお勧めします。一日に6ページでも量は同じかもしれませんが,長く続けることを考えるとむらなく毎日続ける事とが大切と考えます。

 勉強は五科目ありますから片寄りは避けなければならないでしょう。むらなくしなければいけません。しかし,まったく同じようにという必要はないと思っています。科目によって得手・不得手がありますから,強・弱のアクセントを付ける方が勉強を進めるにはよいと思います。

 むらなくは科目だけにとどまりません。目線を遠めにする必要があります。目の前の小テストにばかり気をとられないようにするべきです。小テストではありませんが,塾で4月に道コンをします。あの広い試験範囲を短期間でこなすなど,無理な話です。道コンに向けて勉強をすることが悪いとは思いませんが,道コンで結果を出そうなどとは思わないで勉強をしてほしものです。成績が良いにこしたことはありませんが,高校に入学できたり中学の成績が上がったりするわけでもありません。あくまでも目標は高校入試にあるはずです。学年により時間的な余裕が違いますが,通過点にある試験であって自分の現在の位置を知ること,そして具体的な点数の目標を設定するきっかけになればよいと思います。目の前の試験に気をとられる,つまり試験に追い回されることになり,むらなく勉強することが難しくなります。

 無駄を恐れない,これはなかなか難しいことです。神ならぬ人間には間違いや失敗はつき物です。間違いや失敗を無駄と考えるかどうかです。失敗を修正し続けることによって目標に近づくのが普通かと思います。なぜ間違えたのか?そこを考えながら間違いを大事にして勉強を続けて欲しいものです。

 続けて勉強をして成績を上げて欲しい。当然ではありますが,そんな思いから宿題の予定を子ども達に手渡してあります。宿題の予定は,私の経験と自分なりの考えで作成したものです。参考になればと思っています。書いてある通りにやらなければならないものではありません。なんといっても,無理なくやることが大切です。子ども達の家庭の生活サイクル,食事や入浴時間などはそれぞれ異なっています。そして,子ども達も習い事や部活などといったそれぞれの状況があります。ですから,自分にあったペースで勉強をしなければ長続きしません。自分のペースこそが,むらなく勉強を続ける「こつ」だと思います。

★ 眼鏡は必要か?…先日,駅の地下街を歩いていると眼鏡屋さんがあったので,ふらりと店をのぞきました。老眼鏡がもう一つ必要だと以前から思っていましたが,なかなか気に入ったフレームがありません。ところが,そのお店に,たまたま気に入るフレームがあったのです。その日のうちに出来上がるということもあり眼鏡を購入しました。今の私にとっては,眼鏡は必需品と言えます。さて子ども達はどうでしょうか?

 勉強をするという点から言えば,視力に問題があれば眼鏡は必要でしょう。眼鏡を掛けるように子ども達にうるさく言いますが,あまり効果はありません。そこで,道新の記事のコピーを同封しましたので参考にして下さい。

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2009年2月27日(金) No.243

 中3は冬の講習,そして学年末試験が終わってから,週末に入試の模擬試験をし,答え合わせと解説をしています。朝から夕方までかかります。

 当たり前のことですが,子ども達は大変です。試験の形式ですから,それなりに緊張してやっているようでした。しかし,回数を重ねると,何だか慣れてきたのか,妙にリラックスしていたりします。そして,お昼はそろってコンビニに買いに行きます。同じ中学の子が多いということもあり,休憩時間には仲良く楽しそうにゲームをして遊んでいます。というか,昼の休憩を楽しみにしている様でもあります。しゃべったりする時間はさほど長くはありませんが,試験時間を含めると結構な時間を共有しています。同じものを食べていませんから「同じかまどの飯を食べた仲」とはいえませんが,仲間意識はあるように見えます。

 そして,答え合わせは,毎年同じような様子です。合っていた,間違えた,勝った,負けたなどと一喜一憂です。そんな子ども達の様子を見ていると,「受験だ」と一番力が入っているのは,実は私なのかと思ったりします。でも,本人は意識していないかもしれませんが,本当は相当の緊張があると思います。たとえば,私立の発表があった時は,見るまでの不安感は相当なものでしたし,本当にうれしそうでした。

 毎年ですが,受験近くの中3を見ていると,1・2年よりも幼稚に見えるように感じます。緊張や不安が高まったりすると,普段よりおしゃべりになったり,いわゆる「ハイ」な状態になったりします。それと同じように,先祖帰りというか,幼稚な感じになったりするように思います。

 緊張の裏返しなのでしょう。そんな彼らを見ているのはそれなりに楽しいものです。まあ,あまりにもダラダラは困りますが,塾で少しでもリラックスした時間を,彼らが過ごせるのであれば,それはそれで有意義なのかもしれないと思っています。あと少しですが,彼らとそうした時間を共有します。私としては,少しでも入試本番に役立ってくれればと思っています。

 子ども達が大変なことは間違いありませんが,受験生を抱える親の方が大変なのでしょう。いえ,貴重な週末です,私もそれなりに大変なのです。

★ ご存知のことと思いますが,「学力低下」が叫ばれ,4月新学期から学習内容が増やされます。減らされた内容が元に戻るというだけのことです。しかし,時間数は元に戻らないようです。子ども達にどんな影響があるのかでしょうか。少ない時間に大量の内容となれば,まず,消化不良が心配されます。塾業界としては,絶好のチャンスともいえるのでしょうか?いずれにせよ,変化に出会う子ども達が大変なことは間違いありません。しかし,本当に大変なのは大人なのかもしれません。子ども達は制度や学習内容などについて知っているわけではありません。知らないということは強みでもあり,柔軟な子ども達は簡単に適応するように思います。なまじ,知っている大人は,過去の経験からなかなか自由になれません。子ども達より私の方がしっかりと対策を考えなければいけないようです。

★1,2年生の学年末テストが終わりました。試験の印象ですが,数学と理科を難しくした学校があるようです。数学・理科ともに点数の取りにくい試験範囲だったことが影響しています。その上,新しい学習内容をにらんでか,問題が難しかったようです。いずれにせよ,子ども達はよく勉強したと思います。その結果が目に見える形で出た科目があれば,そうはいかなかった科目もあるかと思います。いずれにせよ結果は謙虚に受け止め,これからの勉強につなげたいものです。教える側として,私達も工夫を重ねようと思います。

★受験はすぐです。何度も書きましたが,食事をはじめ体調に十分注意してください。受験のタイムスケジュールは,2月の道コンでわかっていると思います。長い休憩時間があります。深呼吸や軽いストレッチなどをし,体の緊張をほぐすようにしてください。水分補給やトイレなどにも注意してください。

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2009年1月27日(火) No.242

 「塾での勉強とは」と尋ねられたら,「成績を上げる」ということなのでしょう。その答えに間違いは無いのですが,一言に成績といっても色々とあります。

 高校入試のことを考えても,学力検査の点数と3年間の五段階の評定,いわゆる内申点という2種類の成績が設けられています。ですから,内申点は子ども達にとって大切な成績です。五段階評定に関係がある事柄は子ども達にとっては一大関心事でもあります。

 そんな事柄の一つにノート提出があります。「ノート提出なんだ」と子ども達からいわれると,私としても冷たく「塾でノート整理をしなくても,家でやれ」とも言えません。しかし,やらせてみるものでした。

 子ども達が何をやるか見て驚きました。英語のノートだったのですが,ノートの空欄にひたすら単語を書いていくのです。「どうして,そんなに単語ばかり書いているのだい」と私が黙々と書いている子ども達に聞きました。返事は「ノートに一行でも空欄があると減点される」というのです。綺麗に丁寧に書いているけれど下が何行かあいているノートより,とりあえず最後まで書いてあるノートの方が点数は良いのです。

 子ども達は勉強をしているというより,単純作業をしているだけなのです。単語の意味やスペルを覚えようとか,そういったことは何も考えていません。ノートを埋めることだけが目的なのです。そしてノートが埋まっていれば点数が良いのです。絶句するしかありませんでした。

 はたして,こんな作業が勉強といえるのでしょうか?

 無駄な作業のために塾での時間を使いたくありません。塾の時間は,少しでも意味のあることにしたいと私達は思います。そこで,「空欄のないノート」を子ども達に指導することになります。

 対策として一番の近道は,「行数の少ないノートを使うこと」です。次に「大きな字を書くこと」です。なんといっても楽ですから,要領の良い子は黙って実践しています。その一方で「その手があるか」などと感心している子もいます。 

 本当は意義のあることにノートを使うことが大切なことです。そのため,何を書くべきかを指示します。「まず,基本文を書き写す。出来れば意味も書く。次に大切な連語を書く。まだスペースがあれば基本文を書いて覚えるように」などと,何が大切な内容かを考えるようにして欲しいと思っています。塾でする勉強は,少しでも子ども達の明日につながるようにと思います。

 近頃,東大生のノートは美しいだとかいう本が話題だそうです。受験の最高峰ですから,受験という目的にかなった機能的なノートなのだと思います。機能美という言葉があります。目的を忘れた,見てくれだけの美しさはノートになんら必要ありません。子ども達にもっと目的を意識し,目的にかなったことをできるように子ども達の勉強のやりようを良く見ていく必要があると感じさせられた「ノート提出」でした。

★道新のコラム欄からの抜粋です。受験生や家族の方は参考にして下さい。

 <「生きる」しくみ>*113*脳のエネルギー*試験の朝は炭水化物を

 受験生の皆さんには、人生の大きな関門です。私もいまだに入試に落ちた夢をみるぐらいです。普段の実力が発揮されることを祈るばかりです。

 ところで、夜遅くまで自室にこもって受験勉強という受験生が多いようです。夜の静寂の中の方が集中できて、勉強がはかどるかもしれません。

 でも、入学試験は朝から昼間に行われます。試験に備えて、そろそろ夜型から昼型の生活リズムに戻さなければなりません。

 一日の生活のリズムを整えるコツは、規則正しく食事することです。特に、朝食を食べることです。

 寝ている間に食べることはありませんから、朝起きたときには、体は相当にエネルギー不足になっています。 ここで、朝食抜きでいると、昼までエネルギー不足が続き、特に糖分しかエネルギー源にできない脳ははたらきがすっかり落ちてしまいます。 

 

 朝食抜きの受験は、まず間違いなく失敗するでしょう。 ですから、試験の朝は、炭水化物をたくさん取るのがいいようです。ただし、砂糖分では、お昼まで持たないで、昼前に逆にエネルギー不足になることがあります。 でんぷんで炭水化物を取るのがお勧めです。ご飯、パン、バナナに体を温めるタンパク質が豊富なみそ汁、牛乳、卵です。 脂肪の多い肉類は控えめに!幸運を祈ります。『當瀬規嗣(とうせ・のりつぐ)=札医大医学部長』

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2008年12月27日(木) No.241

 分けて考える,よく通信に書いてきました。「困難は分割せよ」,難しいことも分けて一つずつ解決すると,少しは楽に解決できるでしょう。

 しかし,分けることは,子ども達にとってそう易しいことではないようです。

 中学2・3年生は,図形の勉強をしています。小学校であれば,一つの問題に出てくる三角形や四角形は一つだけ,せいぜい多くても二つ程度です。ところが中学の問題になると一つの図の中に,たくさん線が引かれています。そのため,三角形が四つも五つもあったりします。たくさんの三角形を一度に使って解く問題など無いといってよいでしょう。一つの三角形に注目し,そこで,何かを求め,次に別の三角形に注目する。問題を解くのは,こんなことの繰り返しでしょうか。繰り返しが多ければ多いほど,問題は難しいといえます。

 繰り返しがあるということは,一度の計算などでは答えが出ないということでもあります。子ども達の多くは一度に答えが出ると思い違いをしているようです。これは,小学校の問題が簡単すぎるせいか,あるいはボタン一発のリモコンの便利な生活のせいなのか,それとも相乗効果なのでしょうか?

 子ども達が楽をしたい,と考えることに問題はないと思っています。面倒を無くしたいために人間は色々なものを作り出してきたのですから。ただ,そのためには無数の失敗のうえに成功があることを思う必要があるのでしょう。

 そして,楽をするためには,答えが出てくる過程を知ることが必要だと言えます。目的地に向かう道筋を良く知っていれば,最短コースを知ることが出来るのと同じではないでしょうか。楽をするためには,やはり一度は面倒な道筋を知る必要があるのでしょう。

 是非,分割しその一つずつを丁寧に見て,問題を解決できるようになってほしいと思います。

 実のところ,子ども達に偉そうにいえない私であります。やはり楽はしたいし,一度にすべて解決するうまい方法はないかと,いつも手抜きを考える私です。うまい方法を考えた,これなら一度に解決と思いきや,かえって手が掛かって時間と労力を無駄にすることがよくあります。その度に地道にやらなければと,一応の反省はします。しかし,「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」で,すぐにこうすればなどと考えてしまいます。そして,たまにうまくいくから始末が悪いのです。失敗は忘れやすいのですが成功は忘れがたいものです。

 私に限らず,世の大人どもは子ども達よりもっと始末に負えないのかもしれません。マスコミなどによれば,ニューヨーク発の金融危機に始まり大変な年末になりそうです。果たして世の大人は,この難問を上手に解決し,子どもたちに手本を見せることができるのでしょうか?これこそ一挙に解決などといった特効薬のような方法は無いのでしょう。困難は分割し,ひとつずつ解決していくしか無いのでしょう。

 子ども達のことをとやかく言う前に,子ども達に手本を見せなければいけない大人たちなのでしょう。そして,子ども達により良い未来を準備できればと思えてなりません。

 暗いことが多く報道される年の瀬のせいか,こんなことを書きました。来る歳は明るい一年であって欲しいと願ってやみません。

★初めての試みです…宿題を出しました。宿題を出すことは初めてではありません。日付入りの宿題です。基本的に,日・祭日を除き,プリントなりワークに宿題をする日を記入しました。1日の量はそう多くはないと思います。3年生はそれなりにあるかもしれません。まあ,受験生ですから仕方がないでしょう。宿題をこなすのに,たいした時間は必要ないと思います。

 ですから,日付を振ってはありますが,三日分や五日分とかまとめて出来ない量ではありません。でも,出来れば日付の通りにやって欲しいと思っています。問題を解くことが目的には違いありませんが,日祭日を除き,毎日のように問題に触れる,これも目的の一つです。

 この宿題を継続するに当たり問題点が二つあります。

 一つは,こうして通信に書きましたから,お母さん方が宿題のことを知っていることになります。書いておきながらこんなことを言うのはおかしいのですが,子ども達に「宿題をやったか」とか「宿題をやれ」とか言わないで頂きたいのです。親の立場からすると難しいことですが,子どもとの関係及び精神状態にとっては,知らない振りがベストな態度かと思います。

 二番目,これが難しいことです。私が宿題を出し続けることが出来るか?嫌いながんばりですが。出来る限りがんばります。

 

 私ががんばることとは異なりますが,子ども達の勉強にここまで私が口出しをすることが,果たして良いのだろうかという疑問はあります。自分で試行錯誤を繰り返し,自分のペースを造るのが本来の姿のように思います。

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2008年11月27日(木) No.240

 定期テストが終わりました。定期テストに限りませんが,全体の順位や偏差値などがわからないため,子ども達の成績が良かったのか悪かったのかを判断することは,なかなか難しいことです。しかし,満点に近ければ近いほどよいということは間違いないでしょう。そして,一人一人には自分の目標点数をクリアしたかどうかが大切な基準だと思います。

 目標点数とは異なるかもしれませんが,子ども達のテストの点数を見ていて感じることがあります。テストの点数ですからあがったり下がったりはやむを得ないのですが,子ども達一人一人に,それぞれの点数の壁があるように見えます。当然ですが,科目によっても違っています。ある子は数学で50点なら英語は70点,他の子では数学は70点だけど英語は80点以上がなかなか取れない,などといった感じです。 

 これが何度も続くと,特に中2・3年生になると子ども達が諦めてしまっているように見えることがあります。諦めるには,ちょっと早すぎるはずです。

 「男子,三日会わざれば刮目して見るべし」男子というよりは人間と言い換えた方がいいでしょう。「三日も会わないでいると人は変わる。だから,目を見開いてよく見ろ」といった意味でしょうか。私くらいの歳になれば,どうかと思います。しかし,若い小・中学生ですから,成長しどんどんと変わって言って欲しい,いえ,変わって行って当たり前と思っています。

 変わるためにはどのようなことが必要なのか?これを見つけるのは,なかなか難しいことでしょう。「継続は力なり」というスローガンを掲げているどこかの塾があります。親や身の回りの大人に「根気がない」といわれ続けた私は,「そうだろうか,間違いを続けてどうするつもりだ」などと思います。

 壁を越えようとするとき,より長時間の勉強を考えることが一般的なようです。しかし,そうでしょうか?同じことの繰り返しでは,なかなか超えられない,ということは質的な変化が必要なのではないでしょうか。芋虫が蛹になり,蛹が蝶になるような変化が必要な気がします。

 蛹が蝶になるのは蝶の一生のうちで,もっとも危険が伴うことだと聞いたことがあります。そこまでではないにしろ,やり続けてきたことを変えるにはリスクが伴います。子ども達に取って大変なことだと思います。しかし,是非,チャレンジして子ども達に壁を越えて欲しいものです。

 私達は子ども達のチャレンジを,どう手助けできるのか?子ども達は一人一人違いますから,手助けの仕方も違ってきます。言うように簡単な物とは思えません。しかし,子ども達と接する中で少しでも手助けが出来ればと思っています。試験が終わり,もうすぐ冬休みになります。子ども達は試験や家庭学習に追われることなく,自分なりの勉強ができるかと思います。冬休みに子ども達が変身するきっかけでも作ってあげることができればと思っています。

 クリスマスやお正月と,子ども達には楽しみな時期になります。但し受験生を除く,かもしれませんが,受験生もそれなりに楽しんで欲しいものです。人ごみに出かける機会が多いと思います。風邪をもらわないよう注意して下さい。

★今年から,公立高校の入試が様変わりします。まず,学区が広くなり札幌市内の高校はどこでも受験できるようになりました。

 次に,入学試験に「学校裁量問題」制度が導入されたことです。「学校裁量問題」は英・数・国の3教科については,「標準」と「応用」の2種類の問題が用意され,高校側がどちらの問題を採用するか選択するという制度です。

 今春の公立高校の合格者平均点を見ると,国語44.9点・数学27.1点・英語32.3点となっています。国語が高く数学は低い傾向に変化はありません。

 科目別に小問の正答率を見ると, 

 国語…50%以下の小問は21問中3問。一番低い小問は記述式の18.6%でした。そして,30%以下はこの1問だけでした。

 数学…50%以下の小問は計19問中8問。の正答率が高く,一番低い小問でも57.1%でした。しかし,の問2・の問3・の問2,問3の正答率は10%以下で,の問3の正答率にいたってはわずか0.3%でした。

 英語…50%以下の小問は27問中14問。30%以下の小問はわずか2問で一番低い小問は18.9%でした。

 正答率から見ると,英・国は「応用」問題の採用で点差に開きが出るかもしれませんが,数学はどうでしょうか。いずれにせよ,指導要領の範囲を超える問題は出題されません。北海道の入試問題は他の都府県に比べ,易しいと言われていますから,他の都府県の問題にあたっておけば,さほど問題はないと思います。

 それよりも「学校裁量問題」に気をとられて,足元をおろそかにしないようにして欲しいと思います

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2008年10月24日(金) No.239

 身の回りを見回すと,不規則ででたらめなものがあれば,とても規則正しいものもあります。毎日の出来事はでたらめに起こっているように感じられます。例えば,木から落ちた枯れ葉がどこに飛ばされていくのかとか,サイコロの目は規則正しく順番に出るものでもありません。私がジュースの自動販売機で何を買うか,その時の気分で左右されますから,規則など考えるだけ無駄なことでしょう。

 一方,規則的で身近なものは時間でしょうか。曜日は日曜から土曜まで,一年は12ヶ月で365日,4年に一度のうるう年がありますが,それも含めて規則正しく時間は経過していきます。捜せばいくらでもあると思います。同じ値段の品物を買うときの個数と代金などは身近なものでしょうか。

 学校で勉強する数学や理科はこうした規則正しく増減する量を扱っています。 もし,複雑な事柄を扱うとしても,単純化して考えます。自動車の速さや走行距離や時間を考えてみてください。日常で考えれば,走り始めはゆっくりで,徐々に加速していきます。一時間で40キロ走ったから次の一時間も40キロ走るかというと,道路状況によっては50キロ走れることもあれば30キロも走れないことだってあります。しかし,数学では時速40キロとあれば,初めから最後まで同じスピードで走ったことにして計算します。同じことを規則正しく繰り返すことになっています。

 子ども達と勉強をしていて気になることがあります。まるでクイズに答えるように,どの問題にも解き方があり一発で答が出る,と子ども達が思っているように見えることです。物の重さや値段の問題を解く時に,一つずつ増やしたり2倍にしてみたり,反対に一つずつ減らしたり半分にしたり等はしないようです。特に減らしたり半分にしたりと思いつくのが難しいようです。

 私が「半分にすると何グラムになるの,そのまた半分だと」などと質問すれば,すぐに答えが帰ってきます。規則正しい物を扱っていますから,丁寧に順序正しく考えればヒントを見つけることが出来るケースが多いのです。

 近頃,「ひょっとしたら子ども達は規則正しいものについて勉強していると思っていないのではなかろうか」と思ったりします。もしそうだとしたら,子ども達はものすごく難しいことを勉強していることになります。でたらめなものの答えを見つけるのは困難です。答えを覚えなければなりません。これではつらいばかりで不毛な勉強を子ども達がしていることになります。

 他にも,子ども達が順序正しくよりも一発答えを見つけようとするものがあります。数学で因数分解をやります。子ども達が十分に知っている九九や掛け算の知識が必要です。例えば掛け算をして48になる二つの整数を探したりすることがあります。整数の組み合わせは(1×48)(2×24)(3×16)(4×12)(6×8)しかありません。この中のどれかが正解です。1から順番に掛け算の組み合わせを探してもたいした時間がかかりません。ところが,自分の記憶の中の答えを探すような子どもが多いのです。なんだろうと考える時間があれば,1から順に考えた方がよほど早いと思うのですが,子ども達は一発で答えと思っているようです。私にはなんとも不思議に思えることなのです。

 順序良く丁寧にあるいは規則正しく増えたり減ったり,こんなことを子ども達に強調しなければいけないようです。今までも言ってきたつもりですが,私があまりに当たり前だと思っているため子ども達に十分に伝わらなかったのかもしれません。私が説明を丁寧に順序良くやらないといけないのでしょう。

★学力C・定期テスト…中3にとっては二学期の総まとめのような月です。学力Cと定期試験が続けてあります。入試を考えれば,当然まだ通過点ですが,二つの試験が終われば一息つけるといったところでしょうか。中1・2年生は広い試験範囲です。学校のワークなど提出がありますから,しっかりと試験の準備を進めて下さい。試験勉強とはいえ,無理をして体調を崩さないように注意してください。温かいお天気が続きますが,結構,風邪がはやっているようですから気をつけてください。

★何故か近頃気にいったこと…以前から知ってはいましたが,最近改めて本で読んだ内容です。社会生活をする昆虫のアリの話です。

 100匹の働きアリのうち真面目に働いているのは20%,わずか20匹だそうです。そして,真面目な20%のアリを集め,真面目集団を作ります。面白いことに真面目集団のはずが,やはり20%しか真面目に働かないそうです。反対に働かない80パーセントを集めた集団は,不真面目集団ですね,しかしその不真面目集団の20%が真面目に働くようになるそうです。アリの社会生活にとってこのことがどんな意味があるのでしょうか?

 それはともかく,みんな真面目が良いと考えるのが人間の社会だと思います。「そうか,20%しか働いていないのか」とアリの社会に何故か気に入って感心している私です。どこかほっとするような話じゃないでしょうか。100人中20人がまじめに働くのです。

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2008年9月26日(金) No.238

定期購読紙は北海道新聞,道新です。道新の水曜の夕刊に「ニュース・クロスワードパズル」があります。最近のニュースをクロスワードに組み込んだものです。ニュースの幅は広く,芸能・スポーツ・政治経済まで何でも有りです。北京オリンピックの頃は,当然,オリンピック関係の問題がたくさんありました。そんなクロスワードですが,ニュースだけでクロスワードが完成しないのでしょう,普通の言葉やことわざも混ざっています。

 そんな,クロスワードですから,時事問題の勉強や言葉の勉強にもなると思い,何年か前に宿題にしていたことがあります。実は,この宿題にはネックがありました。私が毎週,新聞からクロスワードをコピーしなくてはいけないということです(ひょっとすると,著作権法に触れているかも)。忘れずに規則正しくということが,なかなか私には難しいことでついつい忘れてしまいます。そんな調子ですから,気がつくと,いつのまにか,なくなってしまった宿題でした。子ども達がコンスタントに勉強するのが難しいのと似たりよったりでしょうか。あまり子ども達に偉そうに言えません。

 しかし,最近復活させて宿題にしています。言葉や社会的な事柄に関心を持って欲しいなどがあります。そして手順を考えてくれるようになってくれればということもあります。クロスワードを1番から順番に解くのは難しいと思います。ところが,順番どおりにやろうとがんばる子がいます。わかるところを埋めていくと,それがヒントになり,次々と答が見つかることが多いのではないでしょうか?なんでも順番どおりやればいいとはいえません,出来るところ分かるところからやればうまくいくことだってあります。そんなことも覚えて欲しいとか,色々と理由をくっつけることが出来ます。しかし,私がクロスワードを好きだということが大きいでしょう。なんといっても,手軽に出来る楽しみです。スペースは必要ありませんし鉛筆と消しゴムがあれば間に合います。そして,それなりに頭を使うところがあり知的な雰囲気があります。わかるところからマスを少しずつ埋めていき,わからなかった答を見つけたりしたときは楽しいものです。頭の体操として楽しめ,私にはぼけ防止かもしれません。

 なんと言っても,子ども達が,テレビゲームばかりではなく,そんな楽しみもあることを知って,言葉遊びの一つとして楽しんでくれればと思います。

 さて,今回はいつまでこの宿題が続くのでしょうか?私が忘れずにやり続けるか,にかかっています。それは当然のこととして,子ども達の評価はどうなのでしょうか?当たり前のことですが,楽しんでする子もいればそうでもない子もいます。しかし,宿題というのはどうでしょうか?楽しさが半減というところかと思います。本当は純粋にパズルとして楽しむべきだと思います。とりあえず,私としては出来るだけ続けてみたいと思っています。

 尚,このパズルはクイズになっています。応募すれば商品券か何かが当たります。

★学力Aが終わりました。子ども達から聞いたところでは点数は良く,それなりの成績だったようです。問題を見た感じでは少し易しめのテストだったように思っていました。今年になり定期テストでも平均点すら知らせてくれない中学が多くなっているようでしたが,さすがに,今回はSSを出したようです。全体的に少しですが,SSも良かったのでほっとしています。

 しかし,この後,まだまだ学力B・Cと続きます。そして定期試験もあります。大変ですが,気を抜かずにやりましょう。

★教室にステレオを置きました。今も, BGMを流しながら,この通信を書いています。飽きもせず,同じ曲ばかりです。実は,以前から,何か曲を流しながら勉強できればと思っていました。それで最近,何度か違った音楽を流してみましたが,どこかしっくりとしません。思うような,勉強にふさわしい音楽は,なかなかないものです。探し歩かずに,手元の少ないCDから選ぶことは難しいのかもしれません。でも何か好いものを探して音楽を聴きながら勉強できればと思っています。問題は,選曲が私の趣味に片寄ってしまいますから,はたして,子ども達に受けるだろうかということでしょうか。

 

★寒くなりました。暖かい九月でしたが,急に寒くなりました。昨日,雨が降っていることもあって,ストーブをたきました。すでに風邪気味の子どももいます。体調には十分注意してください。勉強をするにはエネルギーが必要です,しっかりと食べ,休息を取ってください。受験生にとっては,くどいようですが,体調管理は受験勉強の一部です。

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2008年8月29日(金) No.237

 講習を始める前に,中学生に宿題について話しました。テキストのどの部分が宿題かといったこと以外に,一日にどの程度やればよいかなど,いつもに比べ細かく,少し強い口調で話したといえます。だからと言って,子ども達が宿題をするようになるだろうと期待をしたわけではありません。私の「宿題をして欲しい」という願望を彼らに伝えたといったところです。

 なぜ宿題をするのか?私を含め宿題を出す側の理由は,「明日の好成績」につながるということでしょう。まあ,スポーツで上達するために練習するのと同じでしょう。ところで,勉強で「明日の好成績」,これはなかなか厄介です。定期テストがあれば小テストがあります。中学生にとって勉強に係わる最大のイベントは高校入試です。

 小テストは狭い範囲で,教科書で言えばせいぜい5~6ページでしょうか,前日のちょっとした勉強で好成績を挙げることは可能です。簡単に明日の好成績につながります。成果が実感できます。

 定期テストになると,範囲が広くなり小テストの少なくとも5~6倍の30ページにはなります。であれば,小テストの5~6倍も勉強すれば大丈夫でしょうか。なかなかそうは簡単にいきません。時間的なことを考えると5・6倍の時間と単純に考えるわけにはいきません。なにしろ,2日間(中学によっては1日)で全教科をやります。テストが集中しますから,それなりの勉強日数が必要になってきます。実は,それよりも小テストと定期テストとでは問題の質が違うことが問題です。例えば,小テストは英語の単語や漢字の書き取りと同じように丸暗記で間に合うところがあります。しかし,定期テストは範囲内のことが全部出るはずがありません。そこで,ポイントを絞る必要が出てきます。また,範囲の内容を組み合わせた出題も当然考えられます。小テストの勉強とは違った勉強の内容・質と方法とを考える必要があります。 

 ところが人間は,かつての成功というものをなかなか忘れられません。小テストの達成感があるだけに厄介なのです。つい同じ調子で定期試験の勉強をすることになります。おそらく良い結果は得られないでしょう。勉強は空振りに終わり,疲労感はあっても達成感は得られません。

 定期試験が終われば,また小テストが始まります。ここではまた好成績を手にします。小テストでは大当たり,定期試験では空振りでした。この正反対の結果から何を学び,どのように勉強方法に生かすかが重要です。

 失敗は苦く思い出したくないのが人情で,失敗の原因を考えるより栄光の過去にすがるのが普通なのでしょう。そこで,問題の内容や質を考えるよりも範囲が広くなったことに合わせ,勉強時間を増やすということになりがちです。しかし,質の違うものに丸暗記のような同じ方法は通用しないでしょう。またしても空振りです。これが続くと,いくらめげない子でも,勉強の意欲が失われていくのではないでしょうか。

 ここは,つらくとも「失敗に学べ」が正解だと思います。今までとは発想を変え異なる勉強法,丸暗記すべてを覚えることではなく,大切なポイント・ポイントと他のポイントとのつながりを考えるようにしなければなりません。そのためには,授業の受け方や答えあわせの方法などを良く考え,その時その時を大切にし,丁寧に授業や問題と取り組んでいくことが必要だと思います。

 覚えること,これは大切ではあります。しかし,すべてを覚えることは何が大切なのか考えていません。木で言えば,幹も枝も葉も何もかも一緒くたにしているようなものです。私に言わせれば,「全部を覚えるとは,何も覚えないのと同じ」となります。丁寧に言葉を読み意味を考え,大切なものは何か見つけられるようになればしめたものだと思います。長時間でなくてもかまいません,少しずつ丁寧に宿題をしてくれればと思っています。

宿題が嫌いだった私がこんなことを書くのもおかしいのですが。

★講習が終わりました。長丁場にも係わらず,子ども達は良くやったと思います。涼しい夏で助かりました。そのせいでもありませんが,勉強がはかどったと思います。実際,8月の道コンの成績はほとんどの子が上がっていました。山あり谷ありですが,この調子を保って欲しいものです。私達は,涼しさとみんなの好成績に助けられ,疲れましたが,良い講習に成ったと思っています。

★予定にもありますが,中3は受験校を決める重要な学力テストが続きます。その対策として模試を行います。その日のうちに答えあわせ,解説を行います。そのため,朝9時から夕方5時くらいまでの予定を考えています。

 対策をするとはいえ,学力テストは広い範囲から少しずつ出題されます。短い期間で何とかなるものではありません。学力AだけでなくB,Cと先を考え,家でも継続的に勉強を続けてください。1・2年生は,中間テストのある上中を除き,定期テストまで日数があります。しかし,試験範囲はかなりの広さになります。学校のワークなど,少しずつ手を掛けるようにしてください。試験前に追われることだけは避けましょう。

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2008年7月27日(日) No.236

 塾で懇談をしています。あるお母さんから「どうすれば子どもに意欲を持たせることができるでしょうか?」と尋ねられました。「意欲的に取り組む」,魅力のある言葉です。しかし,意欲的に取り組むということはなかなか難しいことだと思いますし,返答に困る質問です。私がそのお母さんに話すことが出来たのは,今までの子ども達とのお付き合いから得た経験でした。その経験とは,意欲を持たせるのではなく,意欲を失っていった子ども達のことでした。

 生き物が生きていく第一の目標は種の保存であり,第二に自己保存だと聞いたことがあります。であれば,生き物は生まれながらに生きる意欲を持っていると言えるでしょう。これは人間にも当てはまるでしょうから,意欲を失わなければ,意欲を持ち続けることになります。意欲を持たせることとは意味合いが違いますが,生まれながらに持っている意欲をなくさないようにすることは,それなりに重要なことではないでしょうか。

 さて,意欲を失わせる方法は,二つに分類できると思います。しかし,親が真剣に子供のことを考えているという点は両方に共通しています。「子どものために良かれ」と思う親の気持ち,ここが難しいところだと思います。

 まず,「禁止事項が多い」。子どもが何かしたいと思ったとき,「危ないから,してはいけない」と禁止されます。親として子どものことを気遣い,危険と思われることからは遠ざけようとします。子どもからすれば反論しにくいものがあります。しかし,禁止が続くと,「どうせ駄目と言われる」と子どもが思うようになります。そして子どもは何かしてみようという思わなくなっていきます。

 そして,禁止事項が多いということは,親の思いとは関係なく,「お前はしっかりしていない,信用していない」と子どもに発信していると私は思います。親に信用されていない子どもはかわいそうなものです。

 時に親の禁止にもかかわらず,意欲的に自分のしたいことをやろうとする子もいます。しかし,これはよくトラブルの元になります。親の禁止を無視する方法は,「嘘をつく」という形になりかねません。子どもの嘘ですから,すぐにばれます。これが信用を失くすことにつながり,禁止事項が増える悪循環に陥るようです。

 意欲を失わせるもう一つの方法は,「親が先回りをし,障害を取り除く」です。子どもに苦労をさせたくない,当たり前すぎることです。しかし,親がいくらがんばっても,子どもの代わりに受験をすることは出来ません。これはどこまでも子ども自身の問題です。子どもの進む道筋を綺麗に掃除し,邪魔になりそうなものは取り除き,歩きやすくする。子どもはぼんやりと歩めばいいのです。道は用意されています,自分が何かをしたい,何をするべきか,あるいはどうすればうまくいくか等,何も考えなくてよい世界です。というよりは,自分が歩いてみようと思った道よりも,親の決めた道が正しい道なのです。

 どちらも子を思う気持ちは分かります。しかし,悲しいかな,子どものことを信頼しているのだろうかと思います。「親」という漢字は,木の上に立ち心配しながら子どもの帰りを見ているという字だ,と私は子どもの頃に聞かされました。真偽の程は知りませが,うまく言ったものだと思いませんか。

 親が自分を信じ,見守っていてくれる。そう思っている子どもは意欲的に色々なことに取り組み,そして生きる力を身に付けていくのだろうと思います。

 意欲を持たせる,とても難しいことだと思っています。せめて彼らから元気をもらっても,彼らの元気を奪い取らないようにしたいと思っています。

★たまに飛行機に乗ると不思議に思うことがあります。目的地の空港に着くと,多くの乗客が席を立ち,通路に立ったまましばらくの時間,ドアが開くのを待ちます。急いでいるのだろうかと思いますが,大半の人は荷物の受け取りの場所で,また待たされます。ゆっくりと座席に座ってみんなの後から飛行機を出る私が空港を出るのが遅くなるわけではありません。空港を早く出られるかどうかは,荷物が早く出てくるかどうかにかかっています。単に飛行機の狭い空間に閉じ込められているのが嫌なのでしょうか?しかし,飛行機に乗り込む時は急いで乗り込む人が多いからどうなのでしょうか?

 私が若い頃,指定席の特急にも,我先にと乗る人が多いように思いました。自由席で席を取りたいのなら理由が分かるのですが,席は決められているのに何をそんなに急ぐのだろうと思ったものです。

 時間の遅れると困るという気持ちというか,強迫観念のようなものでしょうか。それとも,せっかく,飛行機や列車に乗れるのですから,少しゆったりした気持ちになりたいと思う乗り物が好きな私がおかしいのでしょうか。

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2008年6月26日(木) No.235

 小・中学生の携帯電話というのは,高価なおもちゃのような物と言ってそう間違っていないと思います。と言いながら,私はとても重宝しています。特に,メールは時間と場所を選ばずに,子ども達と直接連絡が取れるのでとても便利です。そして,これが携帯を子どもに持たせる親の側の一番の理由だろうかと思います。また,こんな時代ですから,携帯の会社のコマーシャルに子どもの位置確認があり,安全を売りの一つにしているのだから,私の思うところがそう的外れではないと思います。

 さて,子ども達の携帯の使い方を見ていると,電話としての利用はあまりなくて,メールとその他です。その他について私が分かるのは,カメラ・ゲーム機・テレビ・ミュージックプレイヤーそして辞書でしょうか?どのように使っているのかまた使用頻度までは分かりません。これは私が理解できる範囲での利用の仕方です。そして,私にはよく分からない,大人が提供する様々なサイトへの接続があります。ネットで色々なサイトにつながる程度のことは私でも知っていますが,私はパソコンを使うので携帯を利用してサイトにアクセスしたことはほとんどありません。なぜアクセスしないのか?簡単なことで,私には必要があまりないし,パソコンに比べ携帯の操作は面倒です。何よりも私の携帯の料金体系では,ネットにつなげばつなぐほど高くなるはずです。

 私は仕事で,大半の大人がそうだと思いますが,携帯を便利なものとして使います。子ども達は仕事をしていません。彼らにとって携帯の必要性はどこにあるのでしょうか?私が思うに,まあゲーム機とほぼ同じような位置付けで,なくなるものでもないし,上手にお付き合いをする練習をしなければいけない物なのでしょう。そして,何よりも,子ども達はいつか大人になります。大人に携帯の必要性があるのであれば,彼らも上手に使うようにならなければなりません。いつから練習を始めればいいのか?時期は個人や家庭により違って当然です。親と子がゆっくり相談して決めればよいことでしょう。

 私などは携帯の時代を考えれば遅れてやってきた世代といえるでしょう。ついていくのが大変,いえ何周も遅れていると言う方が適切かもしれません。これはレースではありませんから,私は周回遅れを気にしていません。後をついていくのですから危険はあまりなくお気楽といえます。ですから,先頭を走っていると思われる中高生や若い人達は大変だなあ!と私は思っています。

 なぜなら。コースやルールが整備されているのでしょうか?どこに向かってどのように走ればよいのか,彼らはわかっているのだろうか?「出来ること・出来ないこと」を彼らは簡単に理解するようです。「出来ないこと」に問題はありませんが「やってはいけないことは」どうでしょうか? こうしたルールを大人が子ども達に示せたでしょうか?

 私など上手に使えないので彼らの模範にはなれそうにありません。しかし,子ども達の携帯の使い方を見ていて気になることがあります。それは,電話もメールもとても失礼なものだという感覚は持って欲しいと思います。固定電話と同じで,メールの通知などは突如鳴り出します。はやりの言い回しを使えば「KY」の代表的なものです。「いついつ何時何分に電話をします,メールを入れます」と事前に連絡でもあれば別ですが,こちらの状況を無視してメールも電話も来ます。電話であれば受けた側が突然に切ってもこれでお互いおあいこです。ダイレクトメールを読まないのと同じように,メールだって無視されても仕方のないものです。いつ返事を書こうが,それは受け手が自由に判断すれば良いことです。

 複数の人間が同じ場所と時間を共有している場面に,携帯は無遠慮に入り込んできます。お互いが気持ちよく過ごすためには,最低限のマナーやモラルが必要でしょう。携帯のマナーやモラルはこれから出来上がる,いえ若い人達が作っていくものだと思います。大変ご苦労なことだと思います。私のようによく分からない者は分からないなりに若い人達の手助けが出来ればと思いますが,お荷物になりかねません。そうならないように心掛けるのが精一杯でしょうか。新しいもの,昔で言えばテレビもそうでした。色々なことが言われましたが,大抵の家に居間にデンと据えられています。携帯はどのような形で定着するのか分かりませんが,もう少し時間がかかるのでしょう。

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2008年5月28日(水) No.234

 新しい学年になり2ヶ月ほどがたちました。小学校から中学へ,あるいはクラス替えなど環境が大きく変わりましたが,変化した環境にもそろそろ慣れた頃でしょうか?子ども達は,4月の頃に比べリラックスしているようです。

 中学一年生は環境の変化が一番大きく,入学前から,かなり緊張していたようです。しかし,様子が分かるにつれ落ち着いてきているようです。学校の勉強の方は,最初ということもあって,ゆっくりと進んでいます。例年ですと,二学期頃から進度が早くなると思います。「ゆとり教育」をやめることが決まっていますから,もし,その影響があれば授業の進み方など変化があるかもしれません。勉強では新しい科目の英語が思いのほか易しくてほっとしているのではないかと思います。一年生は張り切っていますし,体力もありませんから,上手に力を抜いて疲れないようにしてください。

 中2は学校でクラス替えがありました。4月は担任やクラスメイトについて色々と話していましたが,中学に後輩ができたということもあって落ち着いています。先輩・後輩など好きではありませんが,何故か先輩になると落ち着くのが不思議です。勉強はそれなりに大変になってきています。理科と歴史は2年生から新しい分野ですから,気持ちを切り替えて取り組んで欲しいと思っています。英語は1年の終わり頃から難しくなってきています。そのため一部の子ども達は少し早めに塾に来て練習をしています。ここを何とか乗り切って欲しいものだと思っています。

 中3は先輩がいなくなり重石がなくなったこともあるのか,一番落ち着いています。しかし,中学生活の最大の行事の修学旅行があります。旅行の前から自主研の下調べや部屋割りだの色々と落ち着きません。旅行から帰ってからも,しばらくは思い出話がにぎやかなのかもしれません。そして,最後の中体連といった行事がありますから,受験生らしくなるには多少時間がかかるでしょう。しかし,塾に来る回数が多いので,すぐに受験生としてそれなりの雰囲気になってくると思っています。

 小学生,5・6年生ですが,勉強は中学のことを考えながら進めています。カードゲームなど,もう少しやる機会を作ることができればと思っています。小学生は受験がないので,ゲームに限りませんが,本を読んだり家の手伝いをしたり様々なことを経験して欲しいと思います。

 小学生に限らず,学校の勉強というと,特別なことで,参考書を読んだり問題集を解いたりすれば,それだけで大丈夫なように考えられがちです。確かにそれで間に合う部分は多くあります。しかし,身の回りにある物の知識が役に立つことが良くあります。例えば,花の名前「つつじ」などが中学の教科書に出てきます。結構,自宅の庭に咲いているのに名前を知らない子が結構います。算数・数学に良く出る「1ℓ」がどのくらいの量か見当のつかない子もいます。牛乳やジュースなど1ℓのパックは身の回りに普通にあります。1ℓのパックを自分の手で持てば1kgがどのくらいの重さか体験できます。10 kgの米だって持ってみると重さの感覚が分かると思います。

 国語の「ことわざ」や「四字熟語」などは,大人でさえ普段の会話で使わなくなっているのでしょう。大人が子ども達とどんな会話をしているのでしょうか。子ども達が「ことわざ」などを知らないのは仕方がないのかもしれません。こうなると大人の責任が重大ですね。

 なんと言っても,教科書や参考書だけの勉強は覚えるのに苦労が必要です。しかし,日常的な事柄は自然に覚えていくものですから,覚えるための苦労はなく,忘れることもありません。学校の勉強というのは,何か特別なことのようになってしまっているように思えてなりません。普段から,色々なことを経験することから覚えることはたくさんあると思います。

★子ども達の頭を良くするために少しずつ大人として付き合ってください。いわゆる「子離れ」を上手にしてください。「子ども扱い」を続けるといつまでも子どものままでしょう。どのような手順でやるのか,子どもによって違って難しいことだと思います。親の心配は当然ですが,多少の失敗には眼をつぶる覚悟が必要でしょうか。「子どもに苦労はさせたくない」よく分かる親の気持ちです。しかし,障害物を取り除き,何の失敗や壁にぶつかることもなく大人になった子どもを考えてみて下さい。そして,実は失敗から子どもは学ぶことが多いと思います。親は「忍の一字」かと思います。

試験勉強★ゴールデンウィークが終わりました。5月末から運動会,宿泊や修学旅行などの諸行事がたくさん予定され忙しい時期になりました。諸行事が終わってから,あるいはその合間をぬって中学の定期試験があります。そのため,試験対策の勉強を予定しています。予定などは子ども達にその都度連絡しますが,曜日や時間帯が通常とは,大きく異なりますので注意してください。先月にも書きましたが,特に食事が抜けるようなことがないようにしてください。「腹が減っては,勉強はできぬ」です。

 また,目標の点数を考え,効率の良い勉強を心がけてください。中1はやむを得ませんが,中2・3年生は先生の癖などもある程度判っていると思います。試験に「山を掛ける」ことができるように,授業をよく聞いて下さい。

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2008年4月21日(月) No.233

中3になると受験生といわれ,受験勉強が始まります。受験勉強というと何か特別なことのようですが,点取りゲームの一種だと思って間違いなさそうです。公立高校の入試は各教科60点,計300点満点の点取りゲームです。5科目,種目が5つだと思えばいいでしょう。どのように点を取るか,「真面目にやった」とか「コツコツやった」とかそんなことは関係ありません。試験は「結果オーライ,点数がよければすべて好し」の世界です。やはり戦術というか,割り切って,効率よく点を取ることを考えなければなりません。そのためには

  1. 目標とする点数,これは志望校と自分のランクから大まかに決まりますが,合格平均点あたりを目標にすればよいかと思います。当日は合格最低点でも問題ないのですが,目標は安全圏ということで,あくまで少し高めに平均点というところでしょう。人により目標とする点数は違いますが以後,話を簡単にするため200点を目標点にして話を進めます。
  2. 科目ごとの目標点を決めます。当然,どの科目で点を稼いでもかまいません。こんな例は極端ですが,数学を0点とすれば残りを50点平均で取れば問題ありません。40点×5科目などと考えないでください。
  3. 英・数は大事だとか,苦手だから何とかしようなどと思い込まないでください。英・数で点が悪いから高校に入れないことはありません。英語で30点しか取れないようであれば,他の2科目で45点取ればOKですね。総合点の世界ですから,点数を取れる科目で稼ぎましょう。
  4. 同じようなことが科目の中身についてもいえます。社会の地理と歴史で同じ点数を取る必要はないでしょう。地理で20点近く,歴史で10点でも問題はありません。科目の目標点数が55点以上の科目は全範囲を満遍なく勉強しなければなりません。しかし,50点より下であれば,苦手分野は思い切って捨てることも考えましょう。好きであれば別ですが,理科の一分野の計算問題や数学の証明問題など代表的な捨てる分野でしょう。
  5. 4月の道コンの結果を見ると,中3は全員という程,理科・社会をしっかりと勉強する必要があります。理科・社会は好き嫌いが激しい科目ですが,点数を取るという点では効率的な科目です。基本的な事柄や用語を覚えただけで点数になる可能性があります。英・数・国については,中3の内容に英語の単語や数学の計算のように既習の事柄が繰り返し出てきます。しかし,理科・社会は学年により学習内容が異なりますから, 今までの学習内容について確認をしておく必要があります。
  6.  中3は理科と社会の復習を少しずつ塾でしています。一問一答という基礎的なテキストですが,家庭学習として自分の力で進めて欲しいと思います。早く終われば,より実践的な問題に進めます。

 とはいえ,勉強はゲームとは違います。大きな違いは,好き嫌いを言えないことです。嫌いなゲームはしなければそれでいいのですが,受験勉強はそうはいきません。つらいところですが,ここで受験勉強を稽古しておくと,高校に入ってからも勉強の仕方として,役立つのではないかと思います。

★子ども達の頭を良くするために★落ち着いて勉強できる環境を。部活など,子ども達は結構忙しい生活です。給食から後,何も口にしないで塾に来る子もいます。「腹が減っては,戦はできぬ」勉強が手につきません。どんな方法がよいか子ども達と相談をしてみて下さい。一時おさえとしては,チョコレートなどがあります。一番安易な解決法はお金を持たせることですが,おにぎりを持たせるなどのほうが健康面を考えればベターだと思います。良い方法が見つからないときはご相談ください。たいした知恵もありませんが,何か話しているうちに,解決法が見つかるかもしれません。

★家庭学習はコンスタントに★一週間のうち日曜日や祭日は勉強をお休みにしても良いと考えています。残りの日はできるだけ同じ分量の勉強をして下さい。1日で問題集を5ページやるのと毎日1ページずつ5日間でやるのは,決して同じではありません。そして時間で区切る勉強よりも1日にする分量を決めた方が良いでしょう。決して無理な分量は考えないでください。最初は絶対にできる分量から初めて,だんだんと増やすのが理想的です。

★塾の宿題★宿題を出しています。中学生には簡単に宿題のやり方等を書いたプリントを渡してあります。その通りにという必要はありませんが,目的意識をしっかりと持ってどのように利用すれば良いか考えて宿題をして下さい。これも一度にやるのではなく少しずつ,こなしましょう。

★宿題は必ず答え合わせを★当たり前のことですが,どこをどう間違えたのか確認してください。知識・解法の確認が目的です,目的を忘れないように。

★こんな内容で書くのは初めてでしょうか?効率を考えるなんて,楽しむ余裕がなく人生で一番面白くないことかもしれません。しかし,嫌なことは出来るだけ短時間で,まさに効率よく済ませたいものです。

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